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骨軟部腫瘍クリニック チーフ

根津 悠

​はじめに

半年前から気付いたしこりがゆっくり大きくなっている、ということありませんか? そのようなしこりに悪性腫瘍の可能性があることをご存知でしょうか。「痛くなければ大丈夫」多くの方がそのような認識の中、腫瘤が比較的大きくなってから医療機関を受診される場合が多いのが実情です。整形外科で取り扱う骨軟部腫瘍の多くは悪性腫瘍であっても無症状(痛くない「悪性」のものも多いです!)の状態で見つかります。

 ここでは我々が担当している疾患、その治療を紹介させていただきます。腫瘍クリニックでは整形外科領域(頭部を除いた全身)に発生する、脂肪や筋肉、神経、血管、骨原発の良性・悪性腫瘍やがんの転移病巣の治療を担当しています。骨・軟部原発悪性腫瘍のことを肉腫(sarcoma:サルコーマ)と言いますが、肉腫の発生する部位は多岐にわたり、またその種類も非常に多い一方、その発生頻度は低くいわゆる希少がんに含まれます(#1)

 当クリニック受診の患者さんは診断がまだついていない(腫瘍が疑われた)状況で紹介いただくケースがほとんどです。外来では一般的な血液生化学検査のほかCT、MRI、PET-CTなどの画像検査を必要に応じて追加実施します。しかし腫瘍の種類や進行の度合いなどの診断を正確に行うためには、針生検や全身麻酔下切開生検を行い、得られた実際の腫瘍組織の診断を病理診断医に依頼して行う必要があります。


 良性腫瘍であれば経過観察を推奨することもありますし、悪性腫瘍の場合は体に負担の少ない範囲での手術のみの場合から化学療法や放射線治療を併用して行うケースまで病状(病期)に合わせ治療方針を検討していきます。また手術困難なケースでは重粒子線治療などを提案しています。

(#1)希少がん 年間新規患者発生が10万人あたり6人未満のがんのことをいいます。肉腫は希少がんであり、一番発生頻度が高い脂肪肉腫でも10万人あたり1名程度です。

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