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ブラインドサッカー国際大会に会場ドクターとして帯同しました

試合前、日の丸を背負って国歌を歌う選手たちの姿に、自然と胸を打たれるものがあった。
試合前、日の丸を背負って国歌を歌う選手たちの姿に、自然と胸を打たれるものがあった。



上肢スポーツクリニック指導診療医の荒川です。2025年5月17日から25日まで大阪・梅田で開催されたブラインドサッカーの国際大会に、会場ドクターとして帯同しましたので、その活動についてご報告いたします。

ブラインドサッカーは、視覚障害者がサッカーを楽しむために1980年代初頭に開発された競技で、現行の国際ルールが日本に紹介されたのは2001年と比較的新しいパラスポーツです。フットサルを基にした競技で、ゴールキーパー以外の4人は全盲の選手。アイマスクを装着し、転がると音の出るボールを使ってプレーします。ゴールキーパーは晴眼または弱視の選手が担当し、監督(ベンチ前)やガイド(相手ゴール裏)とともに声でボールや相手の位置を選手に伝えながら、連携してゴールを目指します。男子日本代表は2020年東京大会および2024年パリ大会に2大会連続で出場しており、女子はまだパラリンピックの正式競技には採用されていないものの、その実現を目指して国際大会に積極的に参加しています。

私は2021年から日本代表の育成部という下のカテゴリーでの活動に関わってきましたが、今回の大会では、当時一緒に活動していた選手たちが代表チームの中心選手としてプレーしており、その姿を見て胸が熱くなりました。


会場は駅の目の前に位置しており、公共の場としての性質も強く、大階段で観戦する通行人も多く見られました。観客と一般通行人の区別が難しく、救護対象の線引きや現場管理には特に注意を要しました。
会場は駅の目の前に位置しており、公共の場としての性質も強く、大階段で観戦する通行人も多く見られました。観客と一般通行人の区別が難しく、救護対象の線引きや現場管理には特に注意を要しました。


会場ドクターの主な業務は、試合中に選手がけがをした際の対応に加え、観客やボランティアの体調不良などにも対応することです。今回はスポーツナース1名と連携し、救護対応を行いました。



左端が筆者(荒川)。期間中は近隣の医療系専門学校の学生が担架要員としてボランティアに参加しており、救護体制の一翼を担ってくれました。
左端が筆者(荒川)。期間中は近隣の医療系専門学校の学生が担架要員としてボランティアに参加しており、救護体制の一翼を担ってくれました。

大会期間中は気温が30度近くまで上がる日もあり、体調を崩すボランティアも数名見られました。選手のけがについては、試合中に応急処置を行ったうえで病院受診となった例が5件、病院受診を要さない軽度の出血や擦過傷などに対応したケースも複数ありました。ブラインドサッカーは、アイマスクを装着しているとは思えないほどスピード感があり、接触も激しいため、四肢外傷に加えて頭部外傷や脳震盪が多く見られます。普段の診療とは異なる場面も多く、常に緊張感を持って試合を見守っていました。

また、国際大会ということで英語でのコミュニケーションが必要な場面も多く、特に南米チームとのやり取りではスペイン語が求められることもありました。その際にはChatGPTに助けられながら、なんとか対応することができました。

今回初めて国際大会に帯同させていただき、ブラインドサッカーの魅力を改めて実感するとともに、今後もこの競技に関わっていきたいという思いを強くしました。一方で、自身の語学力の課題も痛感し、今後は英語を中心としたコミュニケーション力の向上にも努めていきたいと考えています。最後になりますが、長期の不在を快く許可してくださった上肢スポーツクリニックの先生方に心より感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

横浜市立大学整形外科学教室

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